自律神経活動の基調は副交感神経系であって、交感神経系の働きはむしろアクセント的な役割であり、 これのコントロールが重要と考えられます。 星状神経節はすでに述べたように交感神経系の神経節(神経の合流点)で、頭、顔面、首、肩、腕、胸、 心臓、肺などを支配している交感神経が集まっています。皮膚面でいえば、左右の乳頭を結ぶ直線を背中 のほうまで延ばした、その線から上が星状神経節の支配領域で、左側と右側をそれぞれ分担しています。 つまり右の星状神経節は右側を、左の星状神経節は左側を支配しています。 人体実験で、汗をかくと色が黒く変わる粉を皮膚の表面に塗り、どちらか一方の星状神経節だけをブロッ クしてから、非常に暑い部屋に入ると、ブロックされない側は普通に汗をかき、ブロックした側は全く汗 をかかないことがわかります。 仮に右の星状神経節をブロック(局所麻酔剤を注射)した場合、定規で線を引いたように頭、顔、首、 胸、背中の左半面と左腕だけが白く抜けて、あとの部分は黒く染まってしまいます 。 つまり、このように星状神経節の支配領域は、胸から上の皮膚から内臓まですべてに及んでいるわけで す。だから、これをブロックすれば、その範囲の血流がよくなり、皮膚の色もよくなるし、発汗はおさえ られて温かくなるのです。 そして、皮膚にそのような変化が起こるということは、脳の内部でも同じとは考えられませんが、わず かに血流がふえていることが推測されます。 実際、星状神経節をブロックすると、15分後には総頸動脈の血流が1.8倍になることがわかっています。 頭へ向かう血流が2倍近くにふえるのです。 ただ、脳は血流をコントロールする特殊な自動制御装置をもっているので、脳内の血液循環が2倍近く もふえるわけではありません。しかし、微量でも確実にふえることは間違いなく、これがとても重要なの です。 星状神経節ブロックは血管を拡張する しかも、頸部の神経節というのは、交感神経という・ファイバー″でもって脳とつながっているわけで す。ここをブロックすれば脳の血流量がふえて、不足している物質が産生されるし、脳の組織の萎縮を防 ぐこともできるのではないでしょうか。とにかく脳にとって基本的に大事なことは血液の循環を維持する ことであり、そのために星状神経節ブロック療法は大きな役割を果たすものと考えられます。 むろん、こうした脳の血液循環よりも、体部の血流は星状神経節ブロックによってずっと多くなること はいうまでもありません。 星状神経節ブロック後、総頸動脈の血流が1.8倍ふえるといいましたが、その血流量の増加は、心臓か らの血液の拍出量がふえる(つまり心臓の仕事量がふえる)からではなくて、血管が拡張する(末梢血管 の抵抗がなくなる)からなのです。たとえていえば、狭かった道路の幅がぐんと広くなって交通渋滞が解 消されたようなもので、血管が広がって血液がスムーズに流れるようになるわけです。 もしそうでなくて、星状神経節ブロックをやると心臓の働きも増大するというようだったら、気分が悪 くなるなど、何か間題が起こってきます。βブロッカー(心臓の拍動を支配する交感神経のβ作用を抑え て、不整脈や高血圧などを治療する薬)のような薬はみんなそうです。心臓になんらかの作用を及ばして いろいろな副作用が出てしまいます。 しかし、星状神経節ブロックは、心臓には全く影響がない。循環器系や呼吸器系、代謝系が乱れるよう なことはない。 そうした副作用の心配は一切いらないのが、この治療法の利点です。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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